研究紹介
生命を維持するためには、体の構成成分を適切に合成するとともに、それらを適切に分解処理することも必要です。オートファジーは細胞質のタンパク質や小器官をリソソームに運んで分解する細胞機能です。オートファジーは、細胞の基本的な新陳代謝、不要物の除去、合成のための材料提供などのさまざまな役割を持っていることがわかってきました。またオートファジーに関わる分子群の多くも明らかにされ、分子レベルでオートファジーの仕組みを調べることができるようになっています。オートファジーは、現在の生命科学の重要な分野に成長しつつあります。当研究室では、オートファジーの分子メカニズムと生理学的役割について研究しています。具体的には、(1)オートファゴソームの形成や成熟、オートファゴソームとリソソームの融合、リソソームによる分解の分子機構の研究、(2)オートファジー活性評価動物(マウスやゼブラフィッシュ)やオートファジー遺伝子改変動物を用いた生理学・発生学的解析、(3)オートファジーの活性評価方法の開発、(4)オートファジーが関連する疾患の病態形成機構の解析を中心に行っています。
図の説明:扁平な小胞(隔離膜やファゴフォアと呼ばれる)が伸長・弯曲しながら細胞質の一部を取り囲みオートファゴソームとなる。 次にオートファゴソームの外膜がリソソーム膜と融合するとオートリソソームとなり、オートファゴソームの内膜とともに内容物が分解される。