最近の論文発表(原著)

ULK結合因子FIP200はオートファゴソーム形成に必須である(原 et al., J Cell Biol)

2008年05月05日 最近の論文発表(原著)

Hara, T., Takamura, A., Kishi, C., Iemura, S., Natsume, T., Guan, J.L., Mizushima, N.
FIP200, a ULK-interacting protein, is required for autophagosome formation in mammalian cells.
J Cell Biol, 2008 May 5;181(3):497-510 DOI: 10.1083/jcb.200712064

酵母Atg1は、Atg13、Atg17とともにキナーゼ複合体を形成しており、オートファジー開始に重要な働きをしています。Atg1の哺乳類ホモログ はULK1/2として知られていましたが、それ以外の複合体因子は不明でした。この研究ではULK1/2の新規結合因子として FIP200(RB1CC1:RB1 inducible coiled-coil 1とも呼ばれています)を同定しました。FIP200は癌抑制遺伝子RB1の発現を調節し、癌抑制に働いている約180kDaのタンパク質であり、RB1 との相互作用以外にも細胞サイズの制御や細胞接着への関与など多機能を有することが報告されています。今回のFIP200がULK1/2と結合するという 結果から、FIP200の新たな機能としてオートファジーへ関与を検討しました。その結果、FIP200はULKとともにオートファジー隔離膜に存在し、 FIP200欠損細胞ではオートファゴソーム形成が不能となることがわかりました。またこの細胞ではULKが隔離膜に局在できず、ULKのキナーゼ活性も 低下している可能性が示唆されました。従って、FIP200はULKとともにオートファゴソーム形成過程で必須な働きをする新規オートファジー因子である と結論されました。FIP200は酵母のいずれのAtgとも相同性はありませんが、Atg17とよく似た機能を持っていると推測しています。


FIP200はオートファゴソーム形成に必要である

(A) ULK1とFIP200の細胞内局在。隔離膜マーカーであるAtg16Lと局在が一致する。
(B) オートファゴソームマーカーであるGFP-LC3を発現させた野生型MEF(マウス胚性線維芽細胞)とFIP200ノックアウトマウス由来のMEF。2時間の飢餓処理後の写真。

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