最近の論文発表(原著)

Atg101の構造と機能の解明(貝塚 et al., Nat Struct Mol Biol)

2015年07月22日 最近の論文発表(原著)

Suzuki H*, Kaizuka T*(*equally contributed), Mizushima N**, Noda NN**(**co-corresponding authors)
Structure of the Atg101-Atg13 complex reveals essential roles of Atg101 in autophagy initiation

Nat Struct Mol Biol. 2015 Jul;22(7):572-80

オートファゴソームの形成過程ではオートファジー関連(ATG)分子群が必須な機能を果たしています。これらのうち、最も初期の段階で機能しているのがULK1/2、Atg13、 FIP200、およびAtg101から構成されるULK複合体です。ULK複合体を構成する因子のうち、Atg101はほとんどの真核生物で保存されているものの出芽酵母には存在せず、その機能についてはこれまでよくわかっていませんでした。今回、私たちを含む共同研究グループはAtg101の立体構造をAtg13との複合体の状態でX線結晶構造解析法により決定しました。さらに立体構造情報に基づいた解析により、Atg101がオートファジーにおいて担う役割を明らかにしました。
 
構造解析の結果、Atg101はAtg13のN末端領域と同様、Hop1, Rev7 and Mad2 (HORMA)ドメイン構造を持っており、Atg13とHORMA-HORMA複合体を形成することがわかりました。Atg101のAtg13結合面はAtg13の安定化に重要であるほか、Atg101のULK複合体への組み込みおよびオートファゴソーム形成部位への局在に重要であることがわかりました。またAtg101のAtg13結合面の反対側にはトリプトファン(W)およびフェニルアラニン(F)を含む特徴的なループ構造が存在しており、これをWFフィンガーと命名しました。このWFフィンガーは他のAtg分子群の集積に必要であることがわかりました。すなわち、Atg101はWFフィンガーを介して他のAtg因子群をオートファゴソーム形成部位にリクルートすることで、オートファゴソーム形成を開始させる機能を持っていると考えられます。

この研究は微生物化学研究所の野田展生主席研究員および鈴木浩典博士研究員との共同研究による成果です。


図1. Atg101-Atg13複合体の立体構造

お知らせ一覧にもどる

ページトップへ戻る

Mizushima Lab