最近の論文発表(原著)

ミトコンドリア外膜に及ぼすParkinの新しい機能の発見 (吉井, 岸 et al., J Biol Chem)

2011年06月03日 最近の論文発表(原著)

Yoshii SR, Kishi C, Ishihara N, Mizushima N.
Parkin mediates proteasome-dependent protein degradation and rupture of the outer mitochondrial membrane.
J Biol Chem, 2011 Jun 3;286(22):19630-40 DOI: 10.1074/jbc.M110.209338

Parkinはパーキンソン病の原因遺伝子として知られているユビキチンリガーゼです。近年、Parkinが不良ミトコンドリアのオートファジーによる分解(マイトファジー)を誘導することが明らかにされ、オートファジーとパーキンソン病との関連が注目されています。今回私たちは、Parkinがマイトファジー以外の新しい機能を有していることを明らかにしました。この論文では、

1)Parkinは脱分極したミトコンドリアの多種類の外膜タンパク質を分解すること
2)その結果、ミトコンドリア外膜が断裂されうること
3) 脱分極したミトコンドリア外膜にプロテアソームが局在化し、このようなミトコンドリア外膜のタンパク質分解と断裂を引き起こしていること

を見いだしました。

これらの結果から、Parkinはマイトファジーによるミトコンドリア丸ごとの分解だけでなく、プロテアソーム依存的な外膜タンパク質分解によるミトコンドリアの部分的修繕をも担っている可能性が考えられました。本研究成果は、パーキンソン病の発症メカニズム解明へ役立つことが期待されます。

なお、本論文はJBCの“Paper of the week”、表紙にも選ばれました。


ミトコンドリア外膜に及ぼすParkinの新しい機能の発見

(左)Parkinによるミトコンドリア品質管理
脱分極したミトコンドリアにParkinが局在化し、多種類のタンパク質がユビキチン化される。プロテアソームもミトコンドリアにリクルートされ、ユビキチン化された外膜タンパク質を分解する。過度な外膜タンパク質分解は外膜断裂を引き起こす。一方、Prakinによるマイトファジー誘導は、外膜タンパク質の分解や断裂とは無関係におこる。
(右)Parkinが不良ミトコンドリアに及ぼす影響
CCCPで6時間処理したParkin発現細胞の電子顕微鏡写真。巨大な隔離膜(白矢頭)でミトコンドリアが取り囲まれている。★:外膜断裂したミトコンドリアを示す。

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