最近の論文発表(原著)
オートファジー基質p62のタンパク質発現量は長時間飢餓時に回復する(Sahani MH et al., Autophagy)
2014年03月10日 最近の論文発表(原著)
Mayurbhai Himatbhai Sahani, Eisuke Itakura, Noboru Mizushima
Expression of the autophagy substrate SQSTM1/p62 is restored during prolonged starvation depending on transcriptional upregulation and autophagy-derived amino acids
Autophagy, 2014 Mar;10(3):431-41 DOI: 10.4161/auto.27344
p62/SQSTM1は細胞内のさまざまな経路で働く多機能なシグナル分子です。p62は最もよく知られているオートファジーの基質の一つであるため、オートファジーによる分解の指標として広く使用されています。実際、p62はアミノ酸飢餓の初期にはオートファジーにより分解されます。今回私たちは、マウス胎児線維芽細胞とHepG2細胞では4時間以上の長期飢餓下においてp62のタンパク質量が通常レベルにまで回復することを見いだしました。このp62の回復は飢餓によって誘導されるp62 の転写発現上昇に依存していました。さらに飢餓時のp62タンパク質合成にはオートファジー・リソソーム経路が産生するアミノ酸が利用されていました。本研究から、p62の発現レベルはオートファジー活性とは常に逆相関を示すとは限らないことが示されました。また、私たちの知る限り、オートファジーによって産生されるアミノ酸が飢餓時のタンパク質合成に必要であることを哺乳類培養細胞で示唆した初めての報告になると考えられます。