最近の論文発表

オートファジーによる小胞体分解の新規受容体の発見(千野 et al., Mol Cell)

2019年04月19日 最近の論文発表

Haruka Chino, Tomohisa Hatta, Tohru Natsume, Noboru Mizushima
Intrinsically disordered protein TEX264 mediates ER-phagy
Molecular Cell, 2019, April 19 DOI: 10.1016/j.molcel.2019.03.033

オートファジーはランダムなバルク分解だけではなく、細胞小器官や変性タンパク質、細胞内病原体などを選択的に分解していることが分かってきました。オートファジーにより選択的に分解されるものを知ることは、 オートファジーの生理的意義を解明する上で重要です。これらの選択的なターゲットのほとんどは、オートファゴソーム膜上のタンパク質LC3と結合するという性質を持っています。

本研究ではオートファジーによって選択的に分解される分子を同定するためにLC3Bに結合する分子を網羅的に探索するスクリーニングを行いました。 スクリーニングの結果、新規の選択的ターゲットである小胞体の膜タンパク質TEX264を同定しました。TEX264は小胞体膜上に存在し、飢餓によりカルボキシル末端のLC3結合領域を介してLC3と結合することで オートファゴソーム上に誘導され、オートファジーによって分解されました。また、TEX264を欠損させた細胞では小胞体のオートファジーによる分解(小胞体オートファジー)が顕著に抑制されたため、 TEX264は小胞体をオートファゴソーム上に誘導し分解する小胞体オートファジーの新規受容体として機能していると考えられました(図1)。 小胞体の表面にはリボソームという直径約20ミクロンの大きな複合体が存在するために、小胞体オートファジーでは小胞体とオートファゴソームの間に大きな隙間があることが分かっていました。 TEX264は自身がもつ長く柔軟な天然変性領域を利用して小胞体とオートファゴソームの膜を繋留していることが明らかになりました(図1)。 本研究成果は、オートファジーによって小胞体の品質を保つことの生理的重要性や、その破綻と病気との関連の解明につながると考えられます。

本研究は、国立研究開発法人産業技術総合研究所創薬分子プロファイリング研究センターの夏目徹博士らのグループと共同研究です。

プレスリリース


図1:小胞体オートファジーの新規受容体TEX264 TEX264は小胞体膜貫通タンパク質でカルボキシ末端のLC3結合部位(LIR)を介してオートファゴソーム膜上のLC3と結合し、小胞体をオートファゴソーム上に誘導する受容体として機能する。 長い天然変性領域は、リボソームによって隔てられた小胞体膜とオートファゴソーム膜を連結するのに重要である。

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