最近の論文発表(原著)

オートファゴソームの静電的成熟:負電荷脂質の蓄積によってリソソームとの融合因子を獲得する (篠田 et al. eLife)

2024年06月05日 最近の論文発表(原著)

Saori Shinoda, Yuji Sakai, Takahide Matsui, Masaaki Uematsu, Ikuko Koyama-Honda, Jun-ichi Sakamaki, Hayashi Yamamoto, Noboru Mizushima

Syntaxin 17 recruitment to mature autophagosomes is temporally regulated by PI4P accumulation

ELife. 2024, 12:RP92189. doi: 10.7554/eLife.92189

 

リソソームは完成したオートファゴソームとのみと融合し、完成前の未閉鎖オートファゴソームとは融合しません。そのメカニズムのひとつは、オートファゴソームが完成するタイミングで、膜融合タンパク質syntaxin 17(STX17)が局在化することです。しかし、STX17の局在がどのように制御されているかは未解明のままでした。

本研究では、STX17のC末端の正電荷アミノ酸がオートファゴソーム局在に必要であることを見出しました。そこで、オートファゴソームが完成する頃に、膜の電荷的性質が変化するのではないかと考えました。細胞内の膜の電荷を調べると、未閉鎖のオートファゴソームと比べて、完成した閉鎖オーファゴソームはより負電荷を帯びていることがわかりました。この負電荷は、ホスファチジルイノシトール4-リン酸(PI4P)の蓄積によることが示唆されました。試験管内の実験でも、単離したオートファゴソームにSTX17は局在することができますが、オートファゴソームからPI4Pを消失させると局在できなくなります。また、分子動力学シミュレーションによっても、STX17の膜挿入がPI4Pによって制御されうることを明らかにしました。本研究成果は、オートファゴソームの成熟過程の一端を解明し、膜の電荷という物理的な性質によってオートファゴソームの性質が変化することを示しました。

プレスリリースはこちら

 

お知らせ一覧にもどる

ページトップへ戻る

Mizushima Lab