最近の論文発表(原著)

ATG欠損細胞を用いたオートファゴソーム形成過程の微細形態解析(岸 et al., J Cell Sci)

2014年07月22日 最近の論文発表(原著)

Kishi-Itakura C, Koyama-Honda I, Itakura E, Mizushima N.
Ultrastructural analysis of autophagosome organization using mammalian autophagy-deficient cells
J Cell Sci, 2014 Jul 22. pii: jcs.156034 DOI: 10.1242/jcs.156034

これまで、酵母や動物細胞でのATGタンパク質の遺伝学的ヒエラルキーや時空間的相互作用の解析が多くなされてきました。今回の研究では、これらのATGタンパク質やその複合体がオートファゴソーム形成過程の膜動態においてどのような役割をもっているかを、透過型電子顕微鏡法で解析しました。その結果、図に示すように
・FIP200、ATG9A、PI3K活性は隔離膜の出現に必須である
・VMP1とATG2は隔離膜の伸長に重要である(ATG2の方がやや後期の可能性)
・ATG5は隔離膜の閉鎖、あるいは後期ステップのどこかで重要である
ことがわかりました。

また、上流ATG因子の欠損細胞では、小胞体膜(図A, B, C中の矢印)に近接したオートファゴソーム形成部位にp62/SQSTM1などとともにフェリチンのクラスター(図A, B, C中の矢頭)が蓄積していることを発見しました。このことは、フェリチンが恒常的なオートファジーの基質であることを示しています。また、オートファジーが鉄代謝に関わりうることは、WIPI4遺伝子変異をもつ脳内鉄沈着を特徴とするSENDA病の病態形成との関連を示唆します。


図 ATG欠損細胞を用いたオートファゴソーム形成過程の微細形態解析

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