最近の論文発表(原著)
脱神経筋ではmTORC1が活性化されオートファジーが抑制される(Quy et al., J Biol Chem)
2013年01月11日 最近の論文発表(原著)
Pham Nguyen Quy, Akiko Kuma, Philippe Pierre and Noboru Mizushima
Proteasome-dependent activation of mammalian target of rapamycin complex 1 (mTORC1) is essential for autophagy suppression and muscle remodeling following denervation
J Biol Chem, 2013 Jan 11;288(2):1125-34 DOI: 10.1074/jbc.M112.399949
脱神経によって骨格筋は萎縮しますが、この時オートファジーを含めたタンパク質代謝がどのように変動しているかはよく理解されていませんでした。今回、脱神経筋ではオートファジーはむしろ抑制されていることを見いだしました。これは、プロテアソームによって分解される筋タンパク質に由来する過剰なアミノ酸が、脱神経筋のmTORC1を活性化するためです。活性化mTORC1はオートファジーを抑制する一方で、リボゾームやタンパク質合成を促進します。すなわち、脱神経による筋萎縮の過程では、タンパク質異化反応だけではなく同化反応も同時に活性化され、それによって適応的なリモデリングがおこっていることが予想されます。