最近の論文発表(原著)
ATG2Aは異なる領域を介してオートファジー関連膜および脂肪滴に局在する(田村 et al., FEBS Lett)
2017年11月20日 最近の論文発表(原著)
Tamura N, Nishimura T, Sakamaki Y, Koyama-Honda I, Yamamoto H, Mizushima N.
Differential requirement for ATG2A domains for localization to autophagic membranes and lipid droplets.
FEBS Lett, 2017 Nov 20 DOI: 10.1002/1873-3468.12901
ATG2はオートファジーに必須ですが、オートファゴソーム形成におけるATG2の分子機能は不明でした。またATG2の機能や局在に関与するアミノ酸領域もほとんど明らかにされていませんでした。
我々はこれまでにATG2Aが隔離膜だけでなく、脂肪滴上にも局在し、脂肪滴のサイズ調節に関与することを見出しており、さらにATG2Aの隔離膜と脂肪滴、両方の局在に必須な領域を同定していました(Velikkakath et al., Mol. Cell. Biol. 2012)。
今回、この領域中に含まれる両親媒性へリックスが隔離膜および脂肪滴への局在に必要なことを示しました。この領域に加えて、ATG2AのN末端領域, C末端領域は進化的に高度に保存されており、VPS13ファミリーと高い相同性を示します。VPS13は異なるオルガネラ間の近接部位に局在し、オルガネラのリン脂質量の維持に関与することが示唆されています。しかしながら、これらの領域がATG2Aの機能および局在に関与するかどうかは不明でした。ATG2A保存領域欠損変異体を用いた解析から、N末端(1-198アミノ酸)領域は隔離膜への局在に必須であり、C末端は(1830-1938アミノ酸)は脂肪滴への局在に関与することが分かりました(図1)。
さらに各変異体のATG2欠損細胞でのオートファジー活性を検証した結果、C末端欠損変異体はオートファジー活性を相補したため、オートファジーには必要が無いことが分かりました。従って、ATG2Aは分子内の異なる領域を介して、2つのオルガネラに局在しますが、ATG2Aの脂肪滴への局在はオートファジーとは関係が無いと考えられます。