最近の論文発表(原著)
哺乳類Atgタンパク質の階層関係の解明(板倉 et al., Autophagy)
2010年08月06日 最近の論文発表(原著)
Itakura E, Mizushima N.
Characterization of autophagosome formation site by a hierarchical analysis of mammalian Atg proteins.
Autophagy, 2010 Aug;6(6):764-76 DOI: 10.4161/auto.6.6.12709
この論文では、哺乳類細胞でのオートファゴソーム形成に関わるAtg因子群の遺伝学的階層構造を調べ、それをもとにオートファゴソーム形成場所の解析を行いました。その結果、遺伝学的には、ULK1キナーゼ複合体が最も上流に位置し、続いてPI3キナーゼ(phosphatidylinositol 3-kinase)複合体、PI3P(phosphatidylinositol 3-phosphate)結合タンパク質、Atg12結合システム、LC3結合システムの順に続くことがわかりました。
さらにPI3K阻害剤(ワルトマニン)によってオートファゴソーム形成を抑制した場合でも、ULK1やAtg14は小胞体(あるいは近傍)に局在することから、これがオートファゴソーム形成部位を示していると考えられました。
この論文は初めて網羅的に哺乳類オートファジー因子の階層構造を報告したものであり、今後それぞれのタンパク質の詳細な役割の解明へ役立つことが期待されます。