最近の論文発表(原著)

オートファジー始動複合体の進化的多様性:Atg101依存性の低下とAtg9結合部位の変化(Lai et al. Autophagy)

2025年09月17日 最近の論文発表(原著)

Zefeng Lai, Yutaro Hama, Masahide Oku, Sidi Zhang, Yasuyoshi Sakai, Hayashi Yamamoto & Noboru Mizushima*
(*責任著者)

Evolutionary diversification of the autophagy initiation complex: reduced Atg101 dependency and changes in Atg9 binding to Atg13

Autophagy. 2025 Sep 11. doi: 10.1080/15548627.2025.2559683.

本研究では、オートファジー始動複合体の進化的多様性を、特にATG101およびAtg29-Atg31サブ複合体が進化の過程でどのように獲得、喪失、または機能的に変化してきたかを明らかにしました。

真核生物の共通祖先は、Atg1、Atg11、Atg13、Atg17、Atg101からなる始動複合体を有していたと考えられます。しかし、一部の酵母(サッカロミセス酵母など)はAtg101を欠き、代わりにAtg29とAtg31を持っています。本研究の進化的な解析から、Atg29とAtg31を獲得した後にAtg101を失ったことが示唆されました。実際、その中間型としてAtg29、Atg31、Atg101をすべて持つ生物(コマガタエラ酵母など)も発見されました。ツーハイブリッド法による相互作用解析、AlphaFold3を用いた構造解析、コマガタエラ酵母を用いた実験などから、Atg101の喪失はいくつかの進化的・構造的変化と関連していることが示唆されました。一つは、Atg9との相互作用部位がAtg13とAtg101の結合面からAtg13の「側面」へと移動したことで、もう一つはAtg101とAtg29-Atg31サブ複合体の間に機能的冗長性があることです。このような理由から、Atg101の重要性が徐々に小さくなり、最終的に一部の酵母でAtg101が喪失したと考えられました。

 

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