最近の論文発表（原著）

Itakura E, Kishi-Itakura C, Mizushima N.
The hairpin-type tail-anchored SNARE syntaxin 17 targets to autophagosomes for fusion with endosomes/lysosomes
Cell 2012 Dec 7;151(6):1256-69

オートファゴソーム膜はリソソーム膜と融合することで、オートファゴソームの内容物をリソソーム内加水分解酵素へ暴露し、タンパク質分解を引き起こします。しかしなぜ完成したオートファゴソームがリソソームと融合できるのか不明なままでした。

今回我々はSoluble NSF attachment protein receptor (SNARE)であるSyntaxin 17がオートファゴソーム外膜に局在することを突き止めました。SNAREタンパク質ファミリーは一般的に膜融合を引き起こす因子として知られており、カルボキシル側に膜貫通ドメインを一つ持ちます。しかしSyntaxin 17は２つの膜貫通ドメインを持ち、この膜貫通ドメインはグリシンジッパーモチーフを含み、ヘアピン型構造を形成しておりました。このグリシンジッパーモチーフを介したヘアピン型膜貫通ドメインが、形成中のオートファゴソーム（隔離膜）ではなく、完成したオートファゴソームの外膜への局在に必須であることが明らかなりました。

一連の結果から以下のモデルが考えられます。
①Syntaxin 17がヘアピン型膜貫通ドメインを介して完成したオートファゴソーム外膜に局在する。
②Syntaxin 17がSNAP29, VAMP8とSNARE複合体を形成する。
③SNARE複合体によってオートファゴソーム外膜とリソソーム膜の融合が引き起こさ、オートファゴソームの内容物が分解される。