最近の論文発表(原著)

mTOR複合体の形成に重要な因子 Tti1 & Tel2(貝塚 et al., J Biol Chem)

2010年06月25日 最近の論文発表(原著)

mTOR複合体の形成に重要な因子 Tti1&Tel2

Kaizuka T, Hara T, Oshiro N, Kikkawa U, Yonezawa K, Takehana K, Iemura SI, Natsume T, Mizushima N.
Tti1 and Tel2 are critical factors in mammalian target of rapamycin complex assembly.
J Biol Chem, 2010 Jun 25;285(26):20109-16 DOI: 10.1074/jbc.M110.121699

mTORはmTORC1、mTORC2と呼ばれる2種類の複合体を形成することで、細胞成長やオートファジーを制御するタンパク質です。今回、私たちは新規mTOR結合タンパク質としてTti1を同定しました。Tti1およびその結合パートナーTel2は両方のmTOR複合体に含まれており、これらの活性を正に制御していることがわかりました。さらに私たちは、Tti1またはTel2を除去した状況下では、mTOR複合体が解体する(Raptor、RictorおよびmLST8がmTORから解離する)ことを見出しました。これらのことから、Tti1-Tel2はmTOR複合体の形成を維持することで、その活性を保っていると考えられます。また、最近Tel2はmTORを含む全てのPIKKファミリータンパク質を安定化する因子として報告されていましたが、今回の研究で、Tti1もこれらPIKKタンパク質の安定性に重要であることがわかりました。以上の結果を総合すると、Tti1-Tel2は「複合体のメンテナンス」という共通のメカニズムによって、全てのPIKKタンパク質を安定化している可能性があると考えられます。


mTOR複合体の形成に重要な因子 Tti1&Tel2

お知らせ一覧にもどる

ページトップへ戻る

Mizushima Lab