最近の論文発表(原著)

哺乳類Atg2はオートファジーと脂肪滴を制御する(西村, Velikkakath et al., Mol Biol Cell)

2012年03月23日 最近の論文発表(原著)

Anoop Kumar G. Velikkakath, Taki Nishimura, Eiko Oita, Naotada Ishihara, Noboru Mizushima
Mammalian Atg2 proteins are essential for autophagosome formation and important for regulation of size and distribution of lipid droplets
Mol Biol Cell, 2012 Mar;23(5):896-909 DOI: 10.1091/mbc.E11-09-0785

オートファゴソーム膜の形成過程においては、オートファジー関連(ATG)分子が重要な役割を果たしています。これまでに酵母を用いた研究から、35のATG分子が報告されていますが、各ATG分子がどのような機能を有しているのか、その詳細な分子機構は未解明な点が数多く残されています。

今回私たちは、哺乳類のAtg2相同分子、Atg2AとAtg2Bの同定および機能解析を行い、以下のことを明らかにしました。
1) Atg2A/B発現抑制条件下では、閉じていない不完全なオートファゴソーム膜構造が蓄積すること。
2) Atg2Aはオートファゴソーム膜と脂肪滴近傍の両方に局在しうること。
3) 生物種間で高度に保存されているAtg2AのC末側の部位(1723-1829)が、脂肪滴局在とオートファゴソーム膜局在の両方に必須なドメインであること。
4) Atg2AのC末側の部位(1723-1829)が、オートファゴソーム形成に必要なドメインであること。
5) Atg2A/B発現抑制条件下では、大きな脂肪滴が蓄積し、一部、凝集塊を形成すること。(Atg5発現抑制条件下では、同様の異常が観察されないため、オートファジー不全による二次的な影響ではないと考えられます。)

これらの解析から、哺乳類のAtg2A/Bはオートファゴソーム形成とともに、脂肪滴形態および分布の調節にも必要なことが明らかになりました。オートファゴソーム膜と脂肪滴は、いずれも小胞体膜から形成されると想定されていることから、本研究はオートファゴソーム形成と脂肪滴の制御機構が密接に関連することを示唆していると考えられます。


A. 脂肪酸添加により脂肪滴(LD)を形成をさせた条件下におけるGFP-Atg2Aの細胞内局在 (HeLa細胞, Live観察)


B. Atg2分子はオートファゴソーム形成と脂肪滴代謝調節の両方に関与する

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