最近の論文発表(原著)

3次元光-電子相関顕微鏡法を用いたオートファゴソームと細胞小器官接触の定量解析 (高橋 et al., Cell Struct Funct.)

2022年12月22日 最近の論文発表(原著)

Satoru Takahashi, Chieko Saito, Ikuko Koyama-Honda*, Noboru Mizushima* (*co-corresponding authors)

Quantitative 3D correlative light and electron microscopy of organelle association during autophagy

Cell Structure and Function 47: 89–99 (2022) https://doi.org/10.1247/csf.22071

オートファジー関連構造体(隔離膜、オートファゴソーム、オートリソソームの総称)の形成には、小胞体やミトコンドリアなどの細胞小器官が関与することが報告されています。しかし、オートファジーの進行中に、細胞小器官同士がどのような位置関係にあるのか、3次元での定量的な解析はほとんど行われていません。今回私たちは、オートファジー関連構造体と周辺の細胞小器官との接触を、アレイトモグラフィー法を用いた3次元光-電子相関顕微鏡法により定量的に解析しました。過去の報告と同様に、全ての隔離膜は小胞体と接触しており、オートリソソームへと成熟するに従い接触面積は減少しました。しかし、オートファゴソームとオートリソソームの大部分(92%と79%)が小胞体と接触しており、隔離膜の閉鎖後やリソソームとの融合後にも小胞体と接触している割合が多いことがわかりました。オートファゴソームとリソソームが融合のために互いに接近する過程で、小胞体から完全に離脱することは必須ではないことがわかりました。また隔離膜が他の隔離膜やオートファゴソームと接触することもあり、オートファゴソーム形成のホットスポットが存在する可能性が示唆されました。オートファゴソームに取り込まれる基質を解析したところ、圧倒的に小胞体が多いことがわかりました(隔離膜やオートファゴソームの65%が小胞体を含む)。本研究は、3次元光-電子相関顕微鏡法を用いて定量的な3次元超解像での構造解析を行うことで、オートファジー関連構造体と周辺の細胞小器官との近接関係、各小器官の取り込まれる頻度についての新たな知見をもたらしました。

 

 

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